当院ではon-lineによる診療は致しません

最近はその手軽さからon-lineによる診療が行われていますが、当院では当分on-lineを利用しての

診療を行うことはありません。そのわけは大事な病気を見逃す恐れがあるからです。

私どもの診療時の基本的な行動は、聞く(聴く)、見る(視る)、触る、事から始まります。

on-lineでは聴くこと(聴診)ができません。心臓や肺の大事な問題を聞き逃してしまいます。

on-lineでは色の変化については不安定で、例えば貧血や黄疸の存在を見逃す恐れがあります。

これは決定的な事ですが、on-lineでは触診ができません。

最近経験した「早期胃がん」の患者さんの事をお話しし触診が如何に大切な事かをお伝えします。

患者さんは77歳の女性です。高血圧症の治療のために毎月一回受診を続けています。血圧値の変化も良好です。今回もいつも通りの受診で自覚的には先月と変わりはなく、よく眠れ、食欲はよく、痛い所はないと申します。確かに視診・聴診では何の変化もなさそうです。いつも通りに御腹を触った時少し違和感が感じられ、痛くないかと尋ねたところ少し圧痛がありますとのこと。後日改めて胃カメラ検査をさせていただき、「早期胃がん」を見逃さずに済みました。一ヶ月前には何の問題も無かった方が、一度の触診でたった今この様に変わります。お陰で患者さんも、私も辛い思いをしないで済みました。

もう一人お話します。この方は91歳の男性です。リュウマチ性多発筋痛症で当院に通院している方でしたが、2年前に完治されました。

今回は5日前から右側の胸が痛いとの訴えです。肋間神経痛、帯状疱疹、或いはリュウマチ性多発筋痛症の再発を疑いましたが、そのどちらも可能性が

少なく胸のレントゲン写真を撮りました。右肺の癌です。2年半前の写真では異常はありませんでした。この方もオンライン診療でしたら誤診していた

だろうと思います。

この方々の他にもオンライン診療では正しく診断・治療がなされない恐れが屡々あります。これからも診察・投薬は直接対面で行なって参ります。